牛肉の火入れ(低温調理・オーブン・フライパン)

料理

今回は牛肉の火入れについて解説します。

家庭で出来る火入れは低温調理・オーブン・フライパンというオプションがあり、それぞれの特徴を組み合わせながら肉の特徴に合わせ、部位ごとに最適な温度に到達させるというのが火入れです。

今回は

・結論(結局これが成功しやすい)

・調理方法別特徴

・肉の特徴別の注意点

という3段階で解説致します。

結論:低温調理xフライパン

結論は低温調理xフライパンが最も手軽かつ失敗しづらいと思います。もちろん他の手法も一長一短ですので様々な手段を試してみて下さい。

1.マリネする場合は肉をマリネ液につける

結構味に差が出るので30分程。牛肉ではないが、タンドリーチキンを作る場合は1日スパイス液に漬けるか否かで決定的に味が違う。サボらないようにしましょう。

2.低温調理をする

55-60度で30-60分、ミディアムで60度40分程、レア気味の場合は55度で同じく40分。肉の厚みや質によって調整が必要になります。

この調整というのが極めて重要。サシが多く柔らかいテクスチャのものは特に扱いが繊細で火を入れすぎるとなめらかな触感を台無しにします。

調整はどうするかというとトングや手で触った際の感触で行う必要がある。温度計を刺す方法もあるが、温度を見ただけでは火が入った時間や肉の質による違いは考慮することが出来ません。

トングや手で触って、食感を想像出来ることが肉に火を入れる者として欠かせない能力です。

良く言われるのが、手で親指と人差し指をピンチしたときの親指の付け根の硬さを狙うという方法。なんとなく、分かるけど結局は何度も火を入れてトング・手で触った感覚と食感のペアを学習するプロセスを経ないと身につきません。肉に火を入れることは単純なプロセスではなく、努力を要します。

低温調理には一定温度にお湯を保温するセンサー付きヒーター、低温調理器を基本的に必要とします。先駆者は【真空低温調理器】 ミディアムレアのお肉が作れる BONIQ ボニーク (白)とAnovaというメーカー、その後に大量のコピー品が出ました。Boniqは2万円と最高級、Anovaは1万5千円程度です。私はAnovaを使っております。

今はアイリスオーヤマ 低温調理器などもあり、1万円程まで価格は下がっています。ノーブランドに近いメーカーならば1万円切りますね。

センサーとサーキュレーター付きヒーターという単純な機構なのでコピー品を作ることは全く難しくありません。アイリスオーヤマのものでほどよい程度ではないでしょうか。スマホに接続する機能がAnovaには付いていますが一度も使ったことありません笑。

ちなみに上に「基本的に必要」と書いたのは低温調理は実は低温調理器を使わなくても出来るからです。例えば沸騰させたお湯の加熱を止めてその中に肉を入れれば徐々に冷めて低温調理になりますし、オーブン庫内を50-70℃程度に調整して徐々に火を入れても低温調理です。

また、低温調理に使う容器はバケツでもなんでもいいですが見栄えの問題もありますのでウォーターバスを買うとよいでしょう。

バケツで調理しているのはさすがに掃除用具のようでやや気が引けます。圧力鍋のように大型の鍋でも代用可能ですね。蒸発を防ぐために蓋が売っていることもありますがラップをかければ問題ありません。

3.フライパンでメイラード反応を起こす

低温調理だけで終わってはならない。このままでは「ぶよぶよ」という食感の肉になります。また均質過ぎて美味しく感じません。

人間不均質なものの方が美味いと感じるようです。この不均質、肉の香ばしさを加えるには最後にフライパンで火を表面を短時間焼くプロセスが欠かせません。メイラード反応を促進するためにまず高温のフライパンにバターを入れます。高温にするとテフロンのフライパンは痛むので鉄フライパンを使うとよいかと思います。

焼く時間は裏・表両面を各30-60秒程度。火を入れすぎると低温調理を台無しにするので、不均質さを足すために表面から2mm程に火を入れるイメージ。少々焦げたように見える点が程よいポイント。

ここでもトングで掴んで火入れ具合を調整する必要があります。

4.休ませる

焼きたてを切ると切断面から肉汁が流出します。これを防ぎ、フライパンで火を入れた表面と内部の低温調理で火が入った面の連続性を増すために温かい場所で休ませます。

バットの上にアルミをかけて放置してもよいしオーブンをかなり低温にして放置してもよいです。これも肉の具合によるが5-10分程。放置しすぎると冷めるので注意。

5.ソースと付け合せを作る

休ませている間にソースと付け合せを作ろう野菜グリルの場合は食感を残すために短時間で火を入れる点に注意。ソースは様々であるが、バルサミコソースや和風ソースが私は良く作ります。

基本的には野菜の苦味・甘みで肉を飾る発想。醤油もよくよく考えれば大豆である。ソースを作るのも肉焼きの面白みの1つなので様々な工夫をしてみるとよいでしょう。

野菜をブレンダーでピューレにしてソースにするのも面白く、鶏肉にきのこクリームソースを合わせるのはよく作りますね。

6.盛り付けて完成!

さて、最後に盛り付けて完成!洋食器でナイフがある場合は形を整え塊で提供します。箸の場合は薄く切り分けます。

調理法別特徴

低温調理

我々素人料理人の救いです。レストランでは炭火やフライパンを使い焼いて休ませてというプロセスやオーブン調理が多いのですが、これはかなり難しく失敗しやすい。特に酔っていると失敗します。素人でも温度管理さえすれば比較的簡単に火入れが出来ます。

温度を設定し、ジッパーに入れた肉をお湯に入れて放置すれば完成。これ無しでの生活など想像出来ません。肉の中でも特に温度管理が繊細な牛肉でポテンシャルが発揮されます。

欠点を指摘するならグラデーションが付きづらく味わいがつまらない。肉は確かにいい温度で正確に火が入っているがとにかくつまらない。変化に乏しい。フライパンで変化を付けてこれを補えますがやはり面白みはないです。機械的な味。

オーブン

我が家ではデロンギのコンベクションオーブンを使っていますが、「結論」では使いませんでした。何故かというと

・表面が乾燥しがち

・温度管理が難しい

という特徴があり、牛肉向けには私が未だに使いこなせていないからです。

良い点としては表面を香ばしく出来ること。鶏肉を調理する際など、皮をバリッとさせるには適していますので鶏肉には使いますね。

鶏肉のローズマリーグリル等、美味しいですね。

温度についてですが、オーブンの温度は大雑把で設定した温度にオーブン庫内が均質になるわけではありません。かなりずれます。

これを防ぐためにオーブン用温度計を庫内に入れて確認するのですが相当面倒。

追記:現在はオーブンxフライパンが僕のメインです。オーブンでじわじわ火を入れてフライパンで表面だけを数十秒仕上げる。

我が家ではデロンギ(DeLonghi)  スフォルナトゥット・クラシック コンベクションオーブン EO14902J-Wを使っています。コンベンションオーブンとは庫内にファンが付いておりまんべんなく加熱されるタイプのオーブン。ファンなしだとどうしても場所によって相当なムラがついてしまいますがコンベンションオーブンであればパン、ピザ、肉、魚なんでも焼けます!

オーブンを買うならコンベンションオーブン。電子レンジの付属オーブン機能を使っていた人にとっては革命的に感じると思います。

デロンギ コンベクションオーブンはおすすめです!

フライパン

一番お手軽ですが、侮れない。使いこなせばフライパン1つでプロ級の火入れが可能です。鉄板の温度調整や肉を掴んで質感を把握、フライパンからおろして「休ませる」の使いこなしなど身につける必要があるスキルは多いですが、フライパン1つで最高の肉が焼けたときの快感は相当のものです。

オーブンと組み合わせる場合は取手が取れるフライパンを使ってフライパン自体をオーブンに突っ込むという方法もよくしています。

肉の特徴別注意点

最近良く使うのはアメリカのアンガス牛、そして日本の和牛です。

アンガス牛は和牛の半額程度で買えますが、肉の質は良く赤身好きにはたまらんでしょう。

こちらがアンガス牛の和風ステーキです。奥にある白い玉は大根おろし。

これに和風ソース(肉汁、バター、醤油、塩コショウ)と大葉を散らしていただきました。

アイキャッチにも使ってますが、こちらは那須和牛のヒレ。

頂いたものです。付属のステーキソースにバターや塩コショウを足して粘性を増しました。付け合せはアスパラグリルです。

これからも肉焼きとして精進します。

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